‘21年秋のトレンド:自由自在なフランネルシャツ
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いつでも、どこでも自由自在に着こなせるフランネルシャツが今秋、大活躍の予感。そのユニセックスなスタイルは、いろんな場面で使ってもほとんど失敗なしの人気者だ。
2021年秋シーズン、「イザベル マラン(Isabel Marant)」から「マーク ジェイコブス(Marc Jacobs)」にいたるまで多彩なブランドがフランネルシャツをコアなアイテムとして取り入れ、新たなディテールやサステナビリティの要素を加えて今年らしくアップデートしている。
あらゆる仕事のポイント・アイテムになり、着心地もよくレトロさを彷彿とさせる服はポスト・パンデミックでも定番服として人気が続く。コントラストカラーのスティッチングや、クラシックなフラップ型、ボタン型の胸ポケット、サイドポケットなどをあしらってシャツジャケット風にアレンジされたディティールが、オールラウンド・プレーヤーであるフランネルシャツの魅力を強調している。
また、オーバーサイズのシルエットは、ニットの上に重ね着したり、Tシャツとデニムに合わせたりしてもよく似合い、生地に入っているチェック模様も美しい。
かつて木こりの服として親しまれていたというフランネルシャツは、多機能でぬくもりや快適さを感じられ、ファッション性も高い。
英国のファッション用語辞典『ディクショナリー・オブ・ファッション・アンド・ファッションデザイナーズ(Dictionary of Fashion and Fashion Designers)』によると、フランネルはもともとカーディングを施したウールやウーステッド生地(羊毛の長い部分を使って紡績し、緻密に織った織物)からつくられていたという。カーディングとは、羊毛を櫛でとき、繊維の向きを揃える工程である。
現代のフランネルはコットン・ウール・合成繊維素材が主流
フランネルの起源は17世紀のウェールズで農民たちが着用していたシャツにさかのぼる。のちにフランネル生地の普及にしたがい、他の労働者の服としても定着した。語源はウェールズ地方の言葉「gwlanen」(ウール製品)であるといわれる。
1990年代にはロックバンドやマーク・ジェイコブスが当時在籍していた「ペリー エリス(Perry Ellis )」で手がけたコレクションに代表されるグランジファッションで注目された。米『ニューヨーク・タイムズ』紙は2015年の記事でフランネルについて「身近なアイテムであるフランネルシャツの時代を越えた魅力はウールという素材。愛用のデニムのように、プレイドのフランネルシャツは長もちする製品だ」とその永続的な価値を賞賛している。
英国生まれの生い立ちとは裏腹に、フランネルはヒップホップ・アーティストやカリフォルニアのサーファー、カウボーイなど米国のさまざまファッションに浸透している。
米国のフランネルシャツはほとんど米国内生産によるもので、チェック模様は染色した糸を織機で織って出しているという。柔らかな質感を出すため、生地にナッピングという加工を施している。暖かみのある仕上がりになるが、一方、クールさを出すのは着る人にかかっている。