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「バレンシアガ」’22年秋冬のショーでロシアのウクライナ侵攻に抵抗

By Don-Alvin Adegeest

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ファッション
画像: Balenciaga AW22

真っ白い円形の舞台に作られたアポカリプスをにじませるセットで、吹雪に向かって歩くモデル達。「バレンシアガ(BALENCIAGA)」による2022年秋冬のショーは、我々が生きる今の世界の最も厳しい現実を深く描写した。

クリエイティブディレクターのデムナ・ヴァザリア(Demna Gvasalia)は、昨今のロシアによるウクライナ攻撃や社会的不安のなか、ファッションの有用性について疑問を感じ、ショーの中止を考えた。しかしそんな彼をショー続行の決断に導いたのは、「バレンシアガ」に生活を依存する人々の存在や、彼自身の戦争体験だった。デムナの家族は、今回のウクライナのように、1990年代にロシアとグルジアが軍事衝突した際グルジアから逃れた避難民だったのである。

画像: Balenciaga AW22

ショーはデムナによるウクライナ語で書かれた詩の朗読で幕を開けた。通訳はなかった。ステージの吹雪を遮るようにガラスで仕切られた観客席には、黄色と青のウクライナ国旗が置かれた。

大きなごみ袋をかつぎ、雪まじりの風を切って前進するモデルの姿は、安全を求めつねに移動しつづける避難民の苦しい旅路を彷彿とさせる。ポーランドの国境付近に長蛇の列を作るウクライナから逃げてきた人々の車の画像は記憶に新しい。

ファッションショーのため、ごみ袋はビニールではなくレザーで作られた。服にあたっては、ボタンやファスナーを使わず、避難の際にポケットやカバンに簡単につめられるプルオーバーのアウターなどが登場した。

ショーは戦争への抗議と同時に、気候変動対策への誓いでもあった。「このショーに説明はいらない」とデムナはショーのノートに綴った。「これは恐れない心や抵抗、そして愛と平和の勝利に捧げる献辞である」。彼はそう語っている。

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