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23年春夏トレンド予測:ポイントは「メタバースに対抗する清々しいほどのシンプルなデザイン」

By Caitlyn Terra

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ファッション
Coach SS22, via Catwalkpictures.com

「幼虫はサナギにならずして蝶にはなれない。そして昆虫が変態(metamorphosis)するためには、サナギの中にウイルスがなくてはならないのです」。オランダ人トレンド分析家のクリスティン・ボランド(Christine Boland)は先日開催された2023年春夏のトレンド予測に関するオンラインセミナーでそう語った。セミナーの題名は「Meta Morphosis」(英語の変態metamorphosisに最近話題のメタバースのMetaを合わせた造語)で、まさに旬なネーミングだ。ボランドはこれまでにも世界が直面しているさまざまな変化を予測してきたが、今まさに世界の向かう方向性がはっきりと見え始めている。

「今のような時代には多くのレジリエンス(回復力)、創造力、イノベーションが求められる」。セミナーの冒頭にボランドはそう切り出し、それらを得るために重要な良いエネルギーやインスピレーション、強い気持ちを持つことを強調。そしてそのうちのインスピレーションについて、2023年春夏に向けた彼女のトレンド予測を披露した。FashionUnitedではボランドのセミナーのハイライトを本記事で読者の皆さんにお届けする。

Prabal Gurung SS22, via Catwalkpictures.com
Stella McCartney SS22, via Catwalkpictures.com

調和でオーバートーンを演出

ボランドと彼女のチームの予測分析では、同じトレンドがたびたび浮上している。その一つがスーツ。「今では誰もメンズスーツとは言いません。ただのスーツです」(ボランド)

なかでも翌春のトレンドはコントラストである。例えばスーツなら、通常は硬い印象だが、レースやコルセットなどの透け感のあるセンシュアルなアイテムと組み合わせると対照的なイメージに仕上がる。

Alberta Ferretti SS22, via Catwalkpictures.com
Alberta Ferretti SS22, via Catwalkpictures.com

自然からのインスピーレーションはナノレベルに

これまで同様に、自然に大きく影響を受けたファッションデザインが登場。しかし2023年の春夏ではよりナノレベルで抽象的に表現されていく。自然界の多様な過程や構造には、素晴らしい世界が広がるのだ。

さらに自然界に着想を得た形やボリュームがデザインに反映されると予想。展開例としては、プリーツでウェーブ感を出した生地や引き紐で絞って雲のようなボリュームを出すシルエット、水彩タッチの色使いなど。

Coach SS22, via Catwalkpictures.com
Coach SS22, via Catwalkpictures.com

また、複雑な服飾技術もまた復活の兆し。ボランドはそのトレンドを「文化の創造」と呼び、一例としてマクラメが複数のバリエーションとなって登場するとしている。

だが、おそらく最も衝撃的なトレンド予測は、「メタバースへの反動」だろう。有り余るほどの3Dやデジタル化の波のなか、人々はシンプルなものを求め始めるという。本物のバックルの代わりにイラストをプリントした靴や服など、ボランド曰く「純真だが幼稚ではない」デザインが最新トレンドに。「清々しいほどにシンプル。私達の周りの複雑な世界からの息抜きのようなもの」とボランドは話す。

トレンド
メタバース
クリスティン・ボランド
2023年春夏
SS23