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23年秋冬シーズンの“最もバズった”ショー

By Alicia Reyes Sarmiento

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ファッション

Courrèges FW23, courtesy of Courreges

「Is the sky blue? (空は青色?)」その声は、「クレージュ(COURRÈGES)」のショーに現れたモデルたちに向かって尋ねた。彼女たちは皆、下を向いて手に持ったスマートフォンを見つめたまま、舞台を歩き続ける。その光景に、ほとんど誰も気に留ることはなかった。実際、最前列に座る観客たちもいつものようにスマホを握っていたからだ。

ファッションショーにおけるSNSの影響

昨年のソーシャルメディアで最も大きな話題となったショーといえば、紛れもなく「コペルニ(COPERNI)」の2023年春夏コレクションだ。モデルのベラ・ハディッド(Bella Hadid)が体にスプレーを吹き付けられ、即興で出来上がった服を着てステージを歩く姿がSNSで広まった。

それから数日後、「コペルニ」は検索件数が3000%増加し、昨年9月に開催されたファッションウィーク中に最も検索されたブランドに選ばれた。

消費者モデルの変化により進化したSNSは、今日、市場がどのように発展していくかを見極める重要な要素となっているほか、消費者の意思決定にも大きな影響力を持ち始めている。“バズる=影響力”という認識が出来上がった今、ファッションブランドは全力を尽くしてこの構図の達成に凌ぎを削っているのだ。

“燃える男”〜「エリオット エミル(HELIOT EMIL)」

「エリオット エミル」のパリでの2023年秋冬ショー「コネクテッド・フォームス(Connected Forms)」では、映画『ハンガー・ゲーム』さながらに、男性モデルが燃える炎に包まれてキャットウォークを披露。同ブランドのSNSも盛り上がりを見せた。

動画は120万回以上閲覧され、「いいね」獲得数も34000件を超えたという。(本記事公開時点のデータ)

加えて、「黒い服」という厳格なドレスコードで会場に訪れたゲストたちも、“燃える男”を見てすぐに動画を自らSNSで拡散した。実はこれも、「エリオット エミル」の狙い通り。ゲストの多くはインフルエンサーであったため、さらに話題を呼んだ。

Courreges FW23, courtesy of Courreges

ランウェイで服を木っ端微塵に〜「AVAVAV」

パリ・ファッションウィークに参加したミラノ発ブランドの中で欠かせないのが、「AVAVAV」。フィレンツェとストックホルムで事業を展開する「AVAVAV」のモットーは、"creatively designed and consciously produced"(クリエイティブなデザイン、責任ある製造)だ。

2023年秋冬コレクションのタイトル、「Fake It Till You Break It(破壊するまで、偽り続けろ)」は、それ自体がファッション業界に対する挑戦を物語っている。ショーでは加えて、キャットウォークで服を木っ端微塵に切り裂くシーンが登場し、“break(壊す)”という言葉の意味を最も文学的に訴えた。

それでも事足りないとばかりに、ビート・カールソン(Beate Karlsson)クリエイティブディレクターがショーの最後にランウェイに登場。すると自身の背後の壁が崩れ落ち、ファストファッションの象徴である違法縫製工場のような部屋が現れ、コレクションを締め括った。

真っ白な服が、カラフルに変化〜「アンリアレイジ(ANREALAGE)」

東京を拠点に活動する「アンリアレイジ」は、紫外線に反応する特殊な生地を使った、リアルタイムで色が変わる服を披露。ショーのノートでは、コレクションの二重性について、「等しい二つの世界。異なる二つの世界。私たちには世界がどう見えているか。

彼らは世界をどう見ているか。等しく異なる世界を纏う」と説明している。

2023年秋冬コレクションを構成する21のLookは、それぞれ個別のリールが投稿され、投稿から5日足らずのうちに、閲覧回数約32万6千回、「いいね」回数約1万7700回を獲得した。(記事執筆時点)

ロボット犬とモデルの共演〜「コペルニ(COPERNI)」

昨年の快挙でハードルが上がってしまった「コペルニ」が、今シーズンも健闘。23年秋冬のショーでは、ロボット犬が舞台でモデルと戯れるという演出を見せた。

インスタグラムで公開された動画の閲覧回数は35万4千回を超え、「いいね」は1万6700回を超えた。

一方で、YouTubeで公開された同じ動画の閲覧回数は1000回、「いいね」は31回に留まった。このことは、動画の発信形式、特に動画の視聴形態が変化していることを示しており、世界的に展開する動画プラットフォームでは、TikTokやインスタグラムのリールに対抗し、SNSで注目を集める手法として短い縦型の動画制作を導入し始めている。

2023年秋冬
Anrealage
Avavav
Coperni
Courreges
FW23
Heliot Emil
アンリアレイジ
エリオット エミル
クレージュ
コペルニ