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3分間で終了、「マーク ジェイコブス」が超時短のショー開催

By Don-Alvin Adegeest

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ファッション

Marc Jacobs backstage F23 019 Credits: Spotlight Launchmetrics

ファッション界の巨匠マーク・ジェイコブス(Marc Jacobs)はこのほど、2023-2024年秋冬コレクションの発表で「瞬きしている間に終わってしまいそうな」ほど短時間のショーを披露し、観客を圧倒した。

舞台は、ニューヨーク公共図書館。モデルたちが目まぐるしい速さでランウェイを歩き、フィナーレでジェイコブスが登場して挨拶をするまでにかかった時間はなんと3分間。一着ずつ詳細に服を観察するには限られた時間の中で、観客はテーラードのスーツやウエストを絞ったドレスに黒のタイツとフラットシューズを合わせた細部にまでこだわったルックスに視線を注いだ。モノクロのカラーパレットはタイムレスな魅力や白や黒の汎用性の高さを際立たせ、ヘアメイクは1982年頃のデビー・ハリーを思い起こさせた。

また今回、ジェイコブズはショー・ノートの作成に生成AIを使用。ファッションや歴史、現代のトレンドのニュアンスをコンピューターがどれだけ正確に捉えることができるのか、その限界や精度を示してみせた。

コレクションの内容は、メンズ&ウイメンズウエアの構造やバランスに着目し、既成概念に挑む一方、性別問わずテイラードの持つ美しさを引き立てるルックスが中心だった。タイパ重視のInstagram世代に向け、登場モデルはわずか29人のみというショーは、皮肉にも物事が急ピッチで動いていく現代のデジタル社会を露呈する結果となった。

80以上のルックスが登場し、贅沢な演出や観客席の最前列を埋め尽くす著名人に話題が集中する昨今のファッションショーでは、ファッションそのものが後回しになることも少なくない。ジェイコブスはこうした風潮を打破し、ショーの主役が仕掛けではなく、服であることを主張した。止まることを知らないファッションショーの世界を知り尽くす彼は、かつて「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」で華やかなショーを指揮し、ラグジュアリーブランドのマーケティングのノウハウを習得したこともある。しかし今季、彼は再び業界のルールを書き換え、忙しないお祭り騒ぎからの脱却を明確にしたのである。

「お祭り騒ぎのランウェイ」からの脱却

ジェイコブスは今回のショーを通じて、ファレル・ウイリアムス(Pharrell Williams)による「ルイ・ヴィトン」メンズのデビューコレクションのショーをはじめ、行き過ぎた演出が蔓延るファッション業界に一石を投じた。昨今、ラグジュアリーブランドは全般的に本来価値のない商品を売るためにブランディングやマーケティング目的のイベントを開き、世界の顧客にそれを魅力あるものだと思い込ませている。英ファイナンシャル・タイムズ紙はこうした傾向を「悪趣味だ」とし、「だれがそんなものを買うのか」と酷評している。

しかしながら、ジェイコブズは自身のビジョンを捨ててはいない。ポインテッドトウのフラットシューズに靴下と黒のシアーストッキングを合わせたルックスは、スマホやSNSや激しく回転し続けるラグジュアリーファッションのコレクションスケジュールよりも前にあった、1980年代のアナログな美しさを彷彿とさせる。マーク・ジェイコブスはもはや、ハムスターの回し車に興味はない。

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