トレンド・トラッカー:3Dフラワー装飾
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インドの哲学者たちにとって、花は古来より人々と永遠の世界とをつなげる神聖なものとされてきた。同様に、ファッションの歴史においても花は欠かすことのできない要素であり、古代ギリシャやローマではすでに生花を服に使う慣習が存在していた。それから何千年という時を経た21世紀の現代に、そんな花への関心が昨今デザイナーの間で再燃している。「アレキサンダー・マックイーン(ALEXANDER MCQUEEN)」の2007年春夏コレクションに登場した、全身を生花で覆ったドレスはその好事例だ。
これに似たデザインを披露したのが、「モスキーノ(MOSCHINO)」のジェレミー・スコット(Jeremy Scott)。2018年春夏コレクションでは、生花のドレスを発表した。
また「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」のヴァージル・アブロー(Virgil Abloh )も、2020年春夏の新作でハーネスベルトに花飾りをあしらっている。
言うまでもないが、生花を使った服は実用的ではないので、現実的にファッションに取り入れるとなる本物そっくりの精巧に作られた造花で代用することになる。サステナビリティへの配慮などから季節を超えて着られる服へのニーズが高まり、人々の間で「花は春や夏だけのもの」という概念が薄れつつあるなか、3Dフラワー装飾をあしらったマキシマルなルックスが注目を浴びている。
2023年春夏シーズンに多彩なスタイルで登場した3Dフラワー装飾のトレンドは、その後も2023年秋冬、2024年春夏と人気が続いている。
2023年春夏ランウェイシーズン
### 「ボッテガ・ヴェネタ(BOTTEGA VENETA)」 デザイナー:マチュー・ブレイジー(Matthieu Blazy)
Look 55:白のシフォン・ドレスの上に重ねた、赤のミディ・ストラップレス・ドレス。表面に赤いレザー製の花びらを散りばめている。
### 「ロエベ(LOEWE)」 デザイナー:ジョナサン・アンダーソン(Jonathan Anderson)
Look 12:赤のゴアード・ミニスカートの上に合わせたトップスは、ブランド・シグネチャーのアンスリウムをあしらっている。アクセサリーのサッチェルバッグにも3Dのアンスリウムが。
### 「MSGM」 デザイナー:マッシモ・ジョルジェッティ(Massimo Giorgetti)
Look 26:格子状に編んだ黒いストレッチニット・マキシドレス。裾は長いフリンジで仕上げた。ボディ全体に白とピンクの花飾りをつけている。
2023年秋冬ランウェイシーズン
### 「プラダ(PRADA)」 デザイナー:ラフ・シモンズ(Raf Simons)、ミウッチャ・プラダ(Miuccia Prada)
Look 14:白い花のモチーフを装飾した、アンククル丈のストレート・スカート。グレーのクルーネック・セーターと一緒に。
### 「ジマーマン(ZIMMERMANN)」 デザイナー:ニッキー・ジマーマン(Nicky Zimmermann)
Look 28:クリームカラーのトレーンの付いた、ミックスプリントのミニドレス。裾はアシンメトリーに仕上げている。ベルベッドで仕立てたオーバサイズの花飾りが肩まわりを華やかに。
### 「クリスチャン・シリアノ(CHRISTIAN SIRIANO)」
Look 54:紫色のシフォン生地でデザインしたタイトなシルエットのロング・ドレス。ダークレッド、オレンジ、ピンク、茶色で作られた最小の花が織りなす計算し尽くされた位置に配置されている。
2024年春夏ランウェイシーズン
### 「キャンバス(AKNVAS)」 デザイナー:クリスチャン・ジュール・ニールセン(Christian Juul Nielsen)
Look 3:肩部分に3Dのバラを配したピンクのブラウスと、ピンク、青、ダークレッドのフリンジ付きミディ丈のスカート。
### 「バルマン(BALMAIN)」 デザイナー:オリヴィエ・ルスタン(Olivier Rousteing)
Look 18:淡いブルーのレザーのリューシュ・ミニドレス。胸元と裾に赤のパテントレザーで作成したバラを入れている。
### 「クリスチャン コーワン(CHRISTIAN COWAN)」
Look 29:ピンクのスパンコールで作ったバラの花びらのミニドレス。
「コム デ ギャルソン(COMME DES GARCONS)」
デザイナー:川久保玲
Look 3:オーバーサイズのマルチカラー・コート。身頃や裾のトリミングに3Dの花びらを使用。
David Koma
「デヴィッド コーマ(DAVID KOMA)」
Look 15:紫のシアー素材を使った、ホルターネックドレス。3Dの花びらはレジンで作成。
### 「マルニ(MARNI)」 デザイナー:フランチェスコ・リッソ(Francesco Risso)
Look 36:花の写真の切り抜きをコラージュ風にアレンジした、ストラップレストップ&スカート。
### 「シモーン ロシャ(SIMONE ROCHA)」
Look 50:薄いピンクのシアードレスの下に見え隠れするのは、長い茎のついたバラの花。
### 「アンダーカバー(UNDERCOVER)」 デザイナー:高橋盾
Look 52:白のシアー素材製ストラップレス・ミニドレス。ボディス部分はサテンを使っている。黒い蜘蛛の刺繍が入ったチュールのスカートは、中にピンクのバラの花の装飾を忍ばせている。