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アルベール・エルバス、新ブランド「AZ ファクトリー」でファッション界に復帰

By Danielle Wightman-Stone

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ファッション

元「ランバン(Lanvin)」のアーティスティック・ディレクターを勤めたデザイナーのアルベール・エルバス(Alber Elbaz)による新ブランド「AZ ファクトリー(AZ Factory)」がこのほど、2021春夏パリ・オートクチュール・ウィークで個性あふれるファッションショー動画を披露した。

「ラグジュアリーなデジタル・エンターテインメント」とエルバスが称するショーでは新作の発表に加え、「AZ ファクトリー」が掲げる“(社会問題や環境問題に)配慮するスマートファッション(smart fashion that cares)”という企業精神を象徴した内容が披露された。

新ブランドについてエルバスは、「我々は美しく、意味があり、ソリューションに基づいた誰もが着こなせるファッションをデザインする旅路に出ている。我々のブランドはライフスタイルではなく生活そのもの。新しいことを自分達の方法で実験し、試す場所だ」と説明している。

「AZ ファクトリー」はエルバスが「カンパニー フィナンシエール リシュモン(COMPAGNIE FINANCIERE RICHEMONT以下、リシュモン)」と設立した合弁会社 。“尊敬と信頼、そして愛という中心的考え方、特に消費者にとっての親密で特別なひとときの創造にフォーカスしてつくられた会社”であることをアピールしている。

こうした設立趣意にもとづき制作されたデビューコレクションの動画は、従来のファッションショーを一転させ、キャットウォーク中心の演出ではなく進行役やエクササイズシーン、バックステージシーンなどを取り入れよりエンターテイメント性を高めた内容となっている。

全25分間にわたる映像の中で、エルバスによるファッション界への復帰に至るまでの経緯や新ブランドの由来と将来にかけた使命に関するメッセージ、製造現場の様子などが映し出されている。

動画中でエルバスは「ふたたびファッションと恋に落ちるまで時間が必要だった。考える時間、夢を見る時間が必要で、過去に戻って現在に疑問を持ち、未来を想像しようと試みた」とコメントしている。

また「だからファッションを去った。しかしそれは産業を離れたということではない。世界中を旅して巡り、シリコンバレーでまた夢ができた。旅の後、“伝統とテクノロジーは共存できるか?”“ファッションは今の時代にあっているか?”と自分に問いかけた。そしてその答えは何と“Yes”だった。とても大きな“Yes”だ。なぜなら我々は物事がうまくいっていないときにファッションが必要だからだ」と語っている。

##「AZ ファクトリー」がパリ・オートクチュール・ウィークでデビュー作の“ストーリー”を発表

さらにエルバスは新ブランド名の由来が彼の名前の綴りの最初と最後のアルファベットを取ったものであることを明かし、「新ブランドは自分のカムバックではない。それは工場や研究所であり、我々は小さなことから始めている。ストーリーを一つずつ発表していくブランドであり、コレクションやカプセルという問題ではない。“AZ ファクトリー”はストーリーとプロジェクトである」と意気込みを語った。

「AZ ファクトリー」初の“ストーリー”となる商品はインクルーシビティを追求した「リトル・ブラック・ドレス」。エンカ・ビスコースとライクラを原料に開発されたニット素材「アナトニット(AnatoKnit)」を使ったシンプルな黒のミニドレスは、“すべての人の自然な体の線を包みこむ解剖学的なドレス”(エルバス)としてシルエットを優しくつくり出す一方、サポートと快適さも提供する。

「マイボディ(MyBody)」と呼ばれるこのドレスはさまざまな種類があり、“(体の)サポートが必要な部分をすべてサポート”しつつ、背中部分に芯地を入れて姿勢を際立たせるようデザインされている。またクチュールにある「着用の難しさ」という問題にも配慮し、サーフィンのウェットスーツをヒントにつくられた一人でも簡単にファスナーを締められる「AZ ファクトリー」特性のジッパーをドレスに採用しているという。

サイズはXXSから4XLの多サイズ展開となっており、価格は210ユーロから。

また、ドレスに加えてカラフルなエンジニアードニットやレギンスのライン「MyBody 2.0」もあり、近く予約注文を開始する。

###アルベール・エルバスの「AZ ファクトリー」初の商品は新しい解釈を加えた「リトル・ブラック・ドレス」

デビュー二作目は今春後半に発売予定の「スウィッチウェア(Switchwear)」。「レジャーウェアから華麗なルックスに1分で変身する」(AZ ファクトリー)というアイデア のもと、人々に時間を贈りたいとの願いから考案された。再生繊維を使用してつくられたボディースーツやフーディー、グラマラスなダッチェススカートなどで構成され、組み合わせて使える遊び心あふれたコレクションとなっている。

さらに高級シルク製の“おやすみ&夜通しのダンス”兼用のパジャマも登場。初回販売分のデザインは他のアーティストやデザイナーとコラボし、現代のさまざまな感情や「希望」「愛」「一体感」のメッセージを伝える願いが表現された模様をプリント。

続いての“ストーリー”はハイテク・アクティブウェアをハイ・ファッション向けに進化させた「スーパーテク-スーパーシック(SuperTech-SuperChic)」。環境に優しい染色方法を施したナイロンのマイクロファイバー製で従来アクティブウェアに使用されていた素材を、クチュールから着想を得てシーズンレスに着こなせるファッションアイテムへと生まれ変わらせた。

スニーカーの履き心地に細長いポインテッドトウ・パンプスの要素を加えた「ポインティー・スニーカー」も登場。高機能スニーカーのようなシューズはサポート感があり、ショックを吸収しクッション性もあるため体全体の動きやすさを実現している。現在予約注文受付中。価格は455 ユーロ。

さらに「AZ ファクトリー」では商品に加え、消費者向けメンバーシップ・プログラム「アルベール・アンド・アミーゴス(Alber and Amigos)」も展開。メンバーには世界20カ国への速達便が送料無料となるほか、NFC(近距離無線通信技術)を活用したデジタル体験、最新ニュースの閲覧や特別イベントへの招待などの特典がある。また近日中には「もっと驚く特典」が追加されるという。

「AZ ファクトリー」のローラン・マルカイズ(Laurent Malecaze) CEOは「デザインやイノベーション、面白い物語づくりをベースとしたデジタル・ラグジュアリー・ブランドをつくることができ大変わくわくしている。当社の市場参入において“ファーフェッチ(Farfetch)”と“ネッタポルテ(Net-a-Porter)”というデジタル・ラグジュアリー界の二大プラットフォームを選んだのは当然のことだ」とコメントを発表している。

同社は現在「マイボディ」ラインをazfactory.comおよびファーフェッチとネッタポルテで販売中。価格は210 ユーロから。「スウィッチウェア」「スーパーテク-スーパーシック」は今春後半に発売予定。

Video: AZ Factory Show by Alber Elbaz

画像: courtesy of AZ Factory

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