グリーンピース調査:「シーイン」の服にEU規制超える有害化学物質
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中国の超ファストファッション巨大企業「シーイン(SHEIN)」が厳しい局面に立たされている——。同社は以前、商品のデザイン盗用が問題となったほか、最近では中国工場の作業員が一着あたり3セントの報酬で18時間のシフトを働かされているとしたドキュメンタリー番組が英国のテレビ局で放送された。そして今度は同社の洋服そのものが注目を浴びている。環境NGOグリーンピースのドイツ支部が、「シーイン」の販売する商品のなかで有害化学物質を多く含むものが検出されたとの調査結果を発表したのだ。
調査では、「シーイン」のオンラインプラットフォームで購入した服や靴など47点を独立した分析機関に送り、商品に含まれる有害化学物質の量を測定。その結果、ブーツおよび靴それぞれ5足から、欧州連合(EU)の化学品に関する規制「REACH規制」で定められた使用制限値1000mg/1kgを上回る10万mg/1kg以上のフタル酸エステルが検出されたという。最も含有量が高かったのは黒いスノー・ブーツで、測定値はREACH規制の使用制限値685倍の68万5千mg/1kgだった。
調査商品の3分の1が制限値越え
今回の調査でREACH規制の使用制限値を超える有害化学物質が含まれていた商品は全7点、全体の15%に及んだ。「シーイン」はすでに当該商品を販売中止とし、調査を開始したと発言している。(詳しいコメントは後段参照)
「シーイン」の商品の多くはアプリやソーシャルメディアを介して消費者に直接販売されるため、当局規制を逃れている。そのため、グリーンピースはより徹底した管理体制や規制対象範囲の拡大を求めている。
「超ファストファッション」という問題
問題は、超ファストファッションという「シーイン」のビジネスモデルにある。毎日同社のプラットフォームには6千点にも上る新商品が掲載される。対して同じファストファッション企業の「H&M」の米国での新商品の導入点数は四カ月で「シーイン」の約1.4%に過ぎない。さらに商品の販売期間も3日〜7日間と、ファストファッションの先駆けといわれる「ザラ(ZARA)」よりも3倍も短い。
「シーイン」の回答
「シーイン」は今回指摘された問題についての本誌の取材に対し、次のような(一般的な)コメントを回答している。「当社は製品の安全性を重要事項として捉えている。商品の製造委託先には、REACH規制をはじめとし米国のCPSIA、CPSA、CA65など諸規制に則った当社の管理体制や基準の遵守を義務付けている」。
また同社は、「製造委託先による商品安全性基準の遵守を確保するため、国際的な第三者検証機関と協働して定期的にテストを行っている」とした上、「商品に関するなんらかの指摘を把握した時点でその商品は即時にサイトから削除する。安全性基準を満たしていない商品があれば、躊躇なく当該商品の委託先に適切な措置を取る」と加えている。