ロンドン、ミラノと次々にメンズウェアのファッションウィークが控えるなか、リゾートコレクションの発表時期も終盤を迎えた。出揃ったブランド各社の新作をすべて俯瞰すると、オフシーズンならではのある傾向が見えてくる。それは、ありとあらゆるシーズンレスなカテゴリーのぶつかり合いだ。
特に2025年リゾート・コレクションでは、イブニングウェアとアウターのコンボやビーチとオフィスを掛け合わせたコーディネートなど、この特徴が色濃く反映されている。一見ばらばらに見えるルックスも、全体としてはどことなくまとまりがあるという明確なトレンドがそこには存在する。
注目カラー:バーントオレンジ、コバルトブルー、マルーン
多々あるトレンドの中でも“シーズンレスなカテゴリーのぶつかり合い”がよく表現されていたのは、2025年オフシーズンの“It”カラーであろう。さまざまなアイテムに取り入れられジャンルを超えた色として親しまれるバーントオレンジに加え、個性的なコバルトブルーがアウターだけでなくパーティードレスとしてもお目見え。統一感を醸し出すマルーンはレザーなどに幅広く使われ、対立色として唯一ベビーピンクとのコーディネートが見られた。
大胆なシアールック:レースのツー・ピース、シースルー・パネル、アンダースカート・アウター
今年のリゾートのもう一つの特徴、シアー。コレクションではレースを使ったアイテムのほか、かなり明け透けなシースルーのコーディネートなどでシアーへの支持が明確に。ここでも、人気絶頂のランジェリー・アウターがカムバック。下着はデイリーウェアとして浸透しつつあるようだ。
オープンエンド:70s“It”ガール&シャツ・トゥ・スカート
今回、多くのブランド各社の新作でシルエットシャツの裾部分が長く広がったシャツ・トゥ・スカートが存在感を示した。床に裾をたなびかせたドラマチックなルックスに加え、ボタンアップのシャツをベースに大きなスカートに仕上げた立体的なものなど、アプローチもさまざま。
ホイル:魅惑のゴールド&シルバー
シーズナルなコレクションでは局所的にしか使われないメタリックが、2025年リゾートでは共通のトレンドのコアとして、ベーシックアイテムにフューチャリズムの雰囲気を与えている。特に注目、金箔や銀箔を彷彿とさせるホイルの質感を持ったデリケートな素材を使ったブラレットやブレザー。
ルネッサンス:現代風ダブレッド&鎖帷子
昨今のデザインの特徴として、多くのデザイナーが過去の時代にインスピレーションを得ている。アウターやブラウスのシルエットやカッティングには、中世の男性服ダブレットの雰囲気が漂う。「ディオール(DIOR)」は、スコットランド女王メアリーの刺繍を縫い込んだルックスを披露した2025年クルーズのショーで、鎖帷子を使ったルックスを数点披露した。
アニマル・プリント
今年のリゾートを席巻するプリントは、なんといってもジャングルの王、タイガーである。その模様こそ個性的ではあるが、ブランド各社は独自のデザインと合わせ、さまざまな色や形、アイテムをミックスしたバラエティー豊かなルックスを発表。
バブルヘムの再来
ミレニアルなバブルヘム・スカートは、多くの人々にとってスクールディスコをイメージさせる服である。一方で、ファッショントレンドは年齢という避けられない現実を逃避する力を持つだけに、世界中のワードローブでバブルヘム回帰が進んでいる。2025年リゾート・コレクションでは、ミニやミッドレングスに仕上げたカジュアル目のボトムスでこのトレンドが現れている。