境界線は曖昧に：スタイリストが再定義するコンテンツ制作

2025年、完璧に作り込まれたインスタグラムのフィードは、もはや絶対的な基準ではない。今日、ファッション業界のプロフェッショナルたちは、自身のフィードを制作過程やストーリーテリング、そして自己表現の場へと変えている。

この変化は、インフルエンサーとクリエイターの境界線を曖昧にするだけでなく、コンテンツ制作のあり方そのものを変えつつある。 『Vogue』や『Harper’s Bazaar』誌などで活躍するスタイリスト兼クリエイティブ・ディレクターのジャンナ・クリシェルにとって、ソーシャルメディアは「表現のための生きたキャンバス」である。

FashionUnitedの取材に対し、彼女は自身のフィードが、プロフェッショナルとしてのビジョンと個人的なストーリーテリングを融合させた、ポートフォリオの延長線上にあると説明した。

意図とインフルエンス

クリシェルにとって、インフルエンサーとプロフェッショナルの違いは意図にある。インフルエンサーがブランドに合わせて自身のペルソナを調整するのに対し、彼女は自身の直感に忠実であることを好む。「私が表現し、行動し、語るのは、自分自身が正しいと感じることだけです」と彼女は語る。彼女のコンテンツはプロダクトそのものよりも、ムードボード、キャスティングの選択、撮影の背景にあるビジュアル言語といったプロセスに重きを置いていると指摘する。

完成された編集のその先へ

当初、クリシェルはインスタグラムを完成したエディトリアルのショーケースとして利用していた。しかし時が経つにつれ、人々が舞台裏で起こっていることにも同様に興味を持っていることに気づいたという。「本当に人を惹きつけるのは、目的地だけでなく、そこに至るまでの道のりでした」と彼女は説明する。現在、彼女のフィードは洗練されたイメージと、テストショット、撮影現場の様子、さらにはオフの様子のスナップショットといったありのままの瞬間を織り交ぜ、ポートフォリオを進化し続ける物語へと昇華させている。

ワークフローとしてのオーセンティシティ

そうしたオープンな姿勢を貫くことは、時に困難を伴う。クリシェルは、プロジェクトのタイミングや形式が自身の自然なフローと衝突する際にプレッシャーを感じると認める。しかし、パリとベルリンを行き来し、撮影と移動を両立させるペースの速いライフスタイルは、コンテンツが自然に生まれることを意味する。キャンペーンを中心にカレンダーを計画するインフルエンサーとは異なり、彼女の投稿は自身の仕事から直接生まれるのである。

ビジュアルよりも人間性

AIが生成する画像がフィードを席巻する中で、クリシェルはオーセンティシティの価値がますます高まると考えている。彼女は「人間性、感情、真実の物語、そして純粋な情熱」こそが、プロフェッショナルをトレンドを追いかけるだけのコンテンツと一線を画すものであると感じている。若いクリエイターへの彼女のアドバイスは、好奇心を持ち続け、自分の直感を信じ、短期的なバイラルを追い求めないことである。

クリシェルにとって、インフルエンサーとプロフェッショナルの間の曖昧な境界線は欠点ではなく、好機である。ソーシャルメディアをポートフォリオおよび遊び場の両方として活用することで、彼女はファッションプロフェッショナルがコンテンツ制作を、販売のためではなく、ストーリーテリングとしていかに再定義できるかを示している。