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目的別にみる 日本のファッション・服飾専門学校ガイド

ファッション
FashionUnited アーカイブ画像 クレジット: Hunkemöller.
By FashionUnited

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日本国内には多数の服飾専門学校や大学が存在するが、学校の強みや特徴、プロフェッショナルを目指すまでの過程がそれぞれで異なる。「なぜその学校が選ばれるのか」「どんなプロフェッショナルに成長できるのか」といった読者の問いに答えるため、本記事では技術性や国際性、得られる資格、企業との関わりといった観点から国内の服飾系の学校をジャンルごとに紹介する。

著者プロフィール
Sena Terui FashionUnitedで編集・マーケティング業務に携わるインターンとして、日本市場向けのコンテンツ制作をサポート。これまでコミュニケーション、リテール、イベント運営の分野で経験を重ね、オランダのクリエイティブ機関FashionClashでの活動や、Wooly Magazineを通じた日本での編集プロジェクトにも関わってきた。.

服づくりの技術重視

Redress x TAL Ecodesign Challenge participants work on a garment. クレジット: Redress.

ファッションの原点は“服づくり”にある。以下で紹介する2校では、パターンメイキング、縫製、素材研究、立体構成といった基礎技術を高いレベルで身につけることができる。また、この2校に共通する特徴として、個人のスケジュールに合わせたコースを選べる点が挙げられる。

文化服装学院

東京・新宿に位置する日本最大級の服飾専門学校。2015年イギリスの業界ニュースメディア、Business of Fashion のファッションスクールランキングにて2位を獲得。

服つくりに特化した服飾専門課程だけでなく、服の企画や生産を学ぶファッション工科専門課程、テキスタイルやバッグ・デザインに特化したファッション工芸専門課程など、服つくりにまつわる様々なコースが充実している。

服飾専門課程は2年制の服装科と1年制の服飾研究科ものがあり、服作りの基礎から応用までを総合的に学ぶことができる。その後デザイン専攻、技術専攻、オートクチュール専攻のうちから専攻を選べることも可能だが、基礎のみのコースを修了することも可能。

毎年7月には実際にものづくりを体験できる無料のサマーセミナーイベントが開催されている。

ESMOD Tokyo

ESMOD Tokyoは、東京・恵比寿に位置する、世界12か国に18校を設けるフランス発服飾専門学校。現役のプロフェッショナルとして活動している講師に直接教わることができることや、デザインとパターンメイキングを同時に学べる点が他校と一線を画す特徴だ。最適な進路選択に向け、オープンキャンパスでは体験授業を受講することも可能。

平日昼のコースだけでなく、土曜や夜間のみのコース、すでに服つくりの知識のある生徒向けの2年制「インテンシブコース」など個人のスケジュールや能力に合わせたコースも存在する。また、同校では1年次からファッションショーで作品を発表できる機会が与えられている。

ESMOD Japanはその国際性を生かしたコースのラインナップが特徴的だ。日本語でデザインから生産、販売までの基礎を学べる「総合コース」、総合コースと同じ内容を英語で学べる「イングリッシュコース」、服つくりの基礎だけでなく、3年次には東京校にはないコースがあるパリ校への留学が可能な「パリ校留学コース」などが設けられている。

その他にも留学制度や国際的なネットワークが充実している学校が日本国内にはいくつか存在する。

国際性重視

FashionUnited アーカイブ画像 クレジット: Woolworth.

上田安子服飾専門学校

大阪の梅田に位置する上田安子服飾専門学校は、海外とのネットワークの広さが強みだ。ファッションプロデュース学科、インターナショナルクリエイティブ学科、ファッションクリエイター学科、ファッションビジネス学科の中から、生徒の興味に合わせた専攻のコースを選ぶことができる。

ファッションプロデュース学科では、商品企画から生産、販売までの一連の流れをビジネス視点で学ぶことができる。マーケティングやマーチャンダイジングの学習カリキュラムの中に含まれている。2年次にはヨーロッパ研修、3年次にはニューヨーク研修が用意されている。

ファッションクリエイター学科では、1年半のパリ留学を含むパリ留学コース、様々なセグメントのデザインを学ぶファッションデザインコース、パターンナーを目指すパターンコース、その他オートクチュールコースやゴシック&ロリータコース、ニットデザインコースなどがある。

大阪文化服装学院 (ヴォ―トレイル ファッション アカデミー)

大阪文化服装学院 (2026年度より ヴォ―トレイル ファッション アカデミー に校名変更予定) は大阪府大阪市淀川区にある専門学校。留学制度や海外研修制度もあり、イタリアの名門服ポリモーダ校への交換留学や短期留学制度、また海外留学の奨学金制度(給与型と貸与型)を設けている。スタイリスト学科生徒は韓国でフォトシューティングを行うスタイリング研修の機会がある。

さらに、同校は繊維新聞主催のファッションスクールアワードにて全国1位を受賞。多くの学生が国内のコンテストでグランプリを受賞しており、国内だけでなく海外のコンテストに出場できる体制が整っている。

ブランド立ち上げを目的とし世界的な活躍を目指す4年生のスーパーデザイナー学科デザイン、パターン、ニット、3Dなど専門分野に絞った服つくりを学ぶ3年制のファッションクリエイター学科、自身のブランドを立ち上げ、プロデューサーとしての活躍を目指す四年生のプロデューサー学科を設置している。また、販売・企画・仕入れ・広報の職種を目指す2年制ファッションビジネス学科、メディア向けのスタイリストを目指す2年制スタイリスト学科も用意されている。

実践重視

テキスタイル企業のデザインワークスペース クレジット: Texfor.

昨今のファッション業界では、創造性と商業性の間を柔軟に行き来できるプロフェッショナルが求められており、実戦的な経験が不可欠となっている。ここで紹介する学校は作品制作だけでなく、ブランド企画、販売、マーケティング、プロモーションなど“ファッションを実際に動かす力”を企業とのコラボレーションによって学べるのが特徴。就職に直結するスキルを磨きたい人、将来ブランドを立ち上げたい人、即戦力として働きたい人におすすめの学校だ。

バンタンデザイン研究所

東京、大阪、名古屋、札幌にキャンパスを設ける学校。ファッションデザイン、ファッションプロデュース、スタイリストの3つの分野にまたがるコースを提供し、生徒が現場で活きるスキルを身に着けることに注力している。週4日の3年制のコースと週2日の2年制のコースを設置している。

ファッションデザイン分野では、デザインや商品企画を通して生徒自身のオリジナルの作品を作るスキルを学ぶことができる。また、実店舗やECサイトでの販売を通して、ブランド運営における実践的な経験を身に着けることができる。

ファッションプロデュース分野はブランドの運営に特化した分野であり、PR職やバイヤー、オリジナルブランドの企画やECサイト立ち上げのためのスキルを磨く。

スタイリスト分野では、アイロンがけや裾上げ、グラフィックソフトを利用したスタイリングシートの作り方の基礎に加え、撮影を通したスタイリングやディレクションの実践的な経験を積むことができる。

モード学園

東京、大阪、名古屋にキャンパスを設ける専門学校。「デザイン」「技術」「ビジネス」「スタイリスト」の4つの分野を網羅し、ファッションデザイン学科、ファッションビジネス学科、スタイリスト学科の3つの学科を設けている。同校では4年制の大卒同等の高度専門士の資格、または2年制・3年制のコースでは短期大学と同等の卒業資格を取得することが可能だ。

ファッションデザイン学科では、世界のファッションウィークでの活躍を目標とするブランドデザイナー専攻や舞台衣装を学ぶ舞台・ステージ衣装専攻だけでなく、キッズファッション向けやゲームキャラクター向けの専攻など、生徒の希望する職種に直結する多岐にわたる専攻を選べることが特徴だ。国内でLVMH、Coach、Chanelといった国際的なの一流企業による講義を受ける機会も設けられているだけでなく、海外姉妹校8校への留学も盛んだ。

ファッションビジネス学科では商品の企画やプロモーション、プレゼンテーションを一流企業との実践と共に学ぶことができる。オンラインショップ運営を目的としたデジタルマーケティング専攻やファッションコーディコーディネーター専攻、バイヤー・ショップ経営専攻といった専攻が設けられている。初心者向けの3年制のコース(ファッションコーディネーター専攻のみ2年制の選択も可能)、中級級者向けの2年制のコースが存在する。

スタイリスト学科では、テレビや映画、広告、雑誌等のメディア向けでなくウィンドウディスプレイやブライダルコーディネートなど、テーマやシーンに合わせたスタイリングの方法を学ぶことができる。また、衣装だけでなくメイクやヘアアレンジのスキルを学ぶ機会も提供している。初心者向けの3年制と2年制のコース、中級者向けの2年制のコースが存在する。

国家資格及び公的資格の取れる4年制大学

Kurt Geiger Business by Design Academy クレジット: Kurt Geiger

ファッションを体系的に学びながら、教員免許や学芸員資格などの公的資格を取得できることは大学ならではの強みです。このカテゴリでは、文化・歴史・素材研究などの学術的アプローチから、服づくりの基礎技術、企画・表現に至るまで幅広く学べる大学を紹介。専門性だけでなく、学位取得によるキャリアの幅の広がりを求める人に向いた進路選びとなる。

杉野服飾大学

東京の目黒と日野に校舎を設ける4年制私立大学。ファッションにまつわるデザインや政策、ビジネス、メディア、スタイリング、服飾文化を学ぶことができる。服飾学科、服飾表現学科、服飾文化学科が設置されている。

服飾学科では、縫製の工程やパターンメイキング、素材のデザインを学ぶ複数のコースと、ファッションをどう売るかを学ぶ「ファッションビジネス・マネジメントコース」「ファッションビジネス流通イノベーションコース」で構成されている。また、服飾学科では「中学校教諭一種免許状(家庭)」「高等学校教諭一種免許状(家庭)」を取得可能であり、すべての学科の学芸員家庭にて「学芸員」の資格が取得可能である。

一方、服飾表現学科ではスタイリングやビジュアルマーチャンダイジングなど、服を使った表現を学ぶことができる。

また、歴史や伝統を通した持続性のある服づくりを学ぶ場合は服飾文化学科が最適だ。

京都精華大学 デザイン学部プロダクトデザイン学科ファッションデザイン専攻

京都精華大学は、京都市左京区にある私立総合大学。在学4年間を通して服つくりから、商品企画、エディトリアル基礎など、縫製の技術に捉われないファッションを使った表現方法を包括的に学ぶことができる。

1年次では、デザインの基礎となる平面・立体・工芸の知識と技術を学び、素材の扱いや色彩・図面などの基本を身につける。京都ならではの伝統工芸にも触れられる。2年次では、服づくりに必要な縫製・パターン・ファッション史など、表現を支える幅広い知識と技術を習得する。3年次では、制作を通して自分の興味や得意分野を見極め、コレクション設計やブランド設計などのプロジェクトに取り組み、発信力・表現力を高める。4年次では、卒業制作としてブランド立ち上げや雑誌制作など、自分のテーマを個人興味にあった最適な形で社会へ発信する。

高等学校教諭一種免許状(美術・工芸)、中学校教諭一種免許状(美術)、二級建築士(受験資格)、木造建築士(受験資格)、 図書館司書、 博物館学芸員の資格が取得可能。

ファッションを学べる学校は、技術に強い専門学校から幅広い表現を扱う大学、海外に挑戦しやすい国際校、現場力を磨く実践校まで多種多様である。大切なのは、それぞれが持つ教育方針や環境を理解し、自分の目指す未来に最も合う場所を選ぶことだ。こうした多様な選択肢を比較・検討することで、それぞれのキャリア形成に適した学びの環境が見えてくるだろう。

Fashion Education
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