パントンの『カラー・オブ・ザ・イヤー』はどうやって選ばれるのか？

色の世界的権威であるパントンは、2000年にミレニアムを象徴する穏やかな色として「セレニアン・ブルー」を選んで以来、「カラー・オブ・ザ・イヤー」を発表してきた。これまでピンク、レッド、オレンジ、グリーン、パープル、ブルー、イエロー、グレー、ブラウンといった色合いが選ばれてきたが、今年は史上初となるホワイト、「クラウド・ダンサー」が選出された。

当初は世界中のデザインコミュニティや色彩愛好家を対象に、色に関する対話を促す教育プログラムとして始まったこの取り組みは、今や年に一度の詳細なトレンド予測イベントへと発展した。その選定においては、社会経済状況、ライフスタイル、そしてファッション、エンターテインメント、旅行先といった政治的影響までが考慮される。

2026年、パントンは優美な色合いである「クラウド・ダンサー」を選出した。この色は、「思慮深い配慮と静かな内省の価値を再発見する熱狂的な社会」において、穏やかさの象徴となることを目指している。新たなスタートを促す「白紙のキャンバス」を提供し、心を静めて「真のリラクゼーション」を促す。

パントンは次のように付け加える。「色が自己表現の代名詞となった現代において、クラウド・ダンサーは適応し、調和し、コントラストを生み出すことのできる色合いだ。単独で主張することも、他の色と組み合わせることも可能で、あらゆる製品や環境に軽やかな感覚をもたらす」。

パントンがどのようにしてカラー・オブ・ザ・イヤーを決定するのか、また「クラウド・ダンサー」が昨年の暖かみのあるブラウン系の色「モカ・ムース」とどう違うのか、そして色の重要性について、FashionUnitedはパントン・カラー・インスティテュートのクリエイティブ・ディレクター、ジェーン・ボディに話を聞いた。

パントンはどのようにして『カラー・オブ・ザ・イヤー』を選定するのか？

パントンのカラー・オブ・ザ・イヤーの選定は、決して思いつきで行われるものではない。パントン・カラー・インスティテュートのグローバルチームが年間を通じて行う、数ヶ月にわたるトレンドウォッチングと文化的なリサーチに基づいている。その一つの色を導き出す思考プロセスは、私たちがトレンド予測ツール用に構築するパレットの形成にも反映される。

私たちは常に周囲で起きていることを調査している。制作中の映画やエンターテインメント業界の大きな出来事から、巡回展、新進アーティスト、ファッションやデザインの動向まで、あらゆるものが対象だ。ライフスタイルやレジャーの変化、人々が訪れたいと夢見る場所、そしてより広範な社会的・経済的ムードにも注目する。さらには、新しいテクノロジー、素材、テクスチャー、デジタル上の対話、そして世界中の注目を集める主要なスポーツイベントなども追跡している。

それらすべてが、世界がどこへ向かっているのかを理解するための糧となり、最終的に、その瞬間にふさわしい色が何であるかを決定する。

今年の色『クラウド・ダンサー』をどのように表現するか？

パントン 11-4201「クラウド・ダンサー」は、柔らかな温かみを持つ、軽やかでエアリーなホワイトであり、その印象を和らげている。冷たく無機質なホワイトのような厳しさや眩しさはなく、軽やかで開放的、まるで呼吸するような透明感を感じさせる。

むしろ、自然で人間的な柔らかさを持ち、心を落ち着かせ、目に優しい。その表面は、明るいというよりは静かに輝いているように見え、穏やかで気負いのない、ほのかな輝きを放っている。

「クラウド・ダンサー」は、拡散した日光に照らされた白紙のページのように、空間と静寂の印象を生み出す。そして、モノや環境に純粋さ、快適さ、そして控えめな洗練さをもたらす。

2025年の『カラー・オブ・ザ・イヤー』である『モカ・ムース』は暖かみのあるブラウンだったが、『クラウド・ダンサー』とはどう比較できるか？

この2色は一見するとかなり異なって見えるが、驚くほど多くの共通点がある。どちらも落ち着きを与え、心地よく、非常に汎用性が高く、あらゆるデザイン分野に自然に溶け込む。同様に重要なのは、どちらも立ち止まり、内省し、より穏やかで意図的な生き方を求める文化的な欲求を反映している点だ。

パントン 17-1320「モカ・ムース」は、静かな自信と控えめなエレガンスをもたらす。そのシンプルさは洗練されていると解釈され、柔らかく感覚的な温かみは、変化の速いデジタル主導の生活の中で穏やかさを提供する。日常の瞬間をさりげなく格上げし、テクノロジーと人間の感情の架け橋となり、ありふれたやり取りでさえも、より思慮深く上質なものに感じさせる。

パントン 11-4201「クラウド・ダンサー」もまた、これらの価値観を内包している。そのエアリーな開放感は、まるで視覚的なため息のように、明瞭さと広がりを生み出す。「モカ・ムース」と同様に、バランス、優しさ、そして本質への回帰を促す。この2色は共に、地に足のついた心地よさと、よりマインドフルなペースへの共通の渇望を表現しており、それぞれがその感情的な風景に独自の側面を添えている。

『クラウド・ダンサー』にはどのような色が合うか？

この色が本当に特別なのは、その汎用性にある。「クラウド・ダンサー」は、明確で単一のステートメントとして、自信を持って単独で成立する。モダンなホワイトとして、今日のよりソフトなミニマリズムのアプローチと調和し、穏やかで官能的、そして優しく落ち着きのあるムードを提供する。しかし、他の色を支えるフレームワークとしても美しく機能する。

ブライトトーンと組み合わせると、鮮明な透明感を加え、そのエネルギーを際立たせて高めることで、鮮やかな色合いをさらにダイナミックに感じさせる。ソフトトーン、パステル、そして落ち着いたニュートラルカラーと合わせると、「クラウド・ダンサー」は背景にすっと馴染み、繊細な色に呼吸する余地を与える。

その時々に応じて、落ち着かせたり、増幅させたり、際立たせたり、拡散させたりすることができる。この、穏やかな温かみを保ちながら適応する能力こそが、「クラウド・ダンサー」を来年にとって特に重要な色にしている。意図を持って変化し、常に周囲の雰囲気をサポートする色なのだ。

ブランドや小売業者は今年のカラーをどのように活用すると考えるか？

パントン・カラー・オブ・ザ・イヤー2026の背景にある重要なアイデアの一つは、それが白紙のキャンバスとしての役割を果たすことだ。つまり、想像力と創造性が主導する余地を開く色合いであるということだ。ブランドは、製品、体験、環境の中に、この色とその物語の両方を取り入れることで、この可能性を活用できる。

色の背景にあるストーリーは、色合いそのものと同じくらい重要であり、新しいアイデアを刺激したり、既存のラインをリフレッシュしたり、空間の雰囲気を形作ったりするための強力なフレームワークを提供する。このようにして、「クラウド・ダンサー」は単なる色以上の存在となる。それはストーリーテリングのツールであり、可能性とクリエイティブな方向性を引き出す触媒となるのだ。

変化の速いクリエイティブ業界で、パントンはどのようにして最先端を走り続けているのか？

私たちは幸運なことに、大規模で多様なグローバルチームを擁している。メンバーは様々なバックグラウンドを持ち、デザイン業界全体で深い経験を積んでいる。その多様性により、誰もが新鮮な視点をもたらす。チームとして、私たちは世界、文化、イノベーションに対する好奇心で結ばれている。それは私たちにとって自然なことであり、常に周囲で起きていることにアンテナを張る原動力となっている。

そのマインドセットがあるからこそ、変化を早期に察知し、次に何が来るのかを予見することができる。

ブランドにとって色はなぜそれほど重要なのか？

色はあらゆるデザイン決定の中心にある。私たちは製品やイメージに対して、意識する前にまず感情的な反応を示すが、その反応はほとんど常に色によって引き起こされる。色はブランドの姿勢や個性を完全に定義することができる。すべての色合いには独自のストーリーがあり、それは色彩心理学と深く結びついている。

長年のデザイン経験を通じて、この重要性がますます高まっているのを目の当たりにしてきた。現在、色はデザイン主導のあらゆる選択において最も影響力のある側面の一つであり、私たちの感じ方、つながり方、そして周囲の世界を理解する方法を形作っている。

どのようにしてカラートレンド予測の道に進んだのか？

元々はファッションデザイナーとしてキャリアをスタートさせ、有名ブランドと協力してコレクションのストーリーやパレットを開発していた。その仕事が最もエキサイティングな部分であり、色がそれ自体でキャリアになり得ると気づかせてくれた。そこで、その方向に進むことを決意した。

最終的に、世界有数のトレンド予測機関であるWGSNでカラー部門の責任者を務めることになった。私にとって自然な次のステップは、世界で最も象徴的なカラーカンパニーであるパントンに入社することだった。パントンの魅力はその影響力の大きさにある。パントン・カラー・オブ・ザ・イヤーは、デザイン業界だけでなく、誰もが関わることができるものだ。人々は心から興奮し、大きな話題を生む。それはすべての人を巻き込む。包括的で、魅力的で、一目で認識できる。パントンを知らない人にはほとんど会ったことがない。

あなたにとって色とは何か？

執着のようなものだ。昔からずっと色が大好きだ。気分を高揚させてくれるし、プロジェクトに取り組むたびに、色から多くのエネルギーをもらっている。私にとって自然な居場所なのだ。

過去のカラー・オブ・ザ・イヤーの中で、お気に入りの色はどれか？その理由は？

過去の色からお気に入りを選ぶのは難しい。なぜなら、いつも新しい色に夢中になってしまうからだ。特に今年は、人々の感情を深く掘り下げている。私にとって、色の背景にある物語は、色そのものと同じくらい重要だ。

「ピーチ・ファズ」はとても暖かく親しみやすい感じがして大好きだったし、「モカ・ムース」はほのかなピンクみを帯びた美しいブラウンだった。