卓球：ファッション界の次なるトップスピン？

卓球は、スポーツ、ファッション、ライフスタイルを融合した次なるテイストメーカーとなることができるでしょうか？

長年、テニスはラコステやフィラといった主要ブランドによって、プリーツスカートやベストを纏ったエリートルックを象徴するスポーツとして君臨してきました。テニスは確かに社会の保守的な変化に適応していますが、反動もまた必要とされています。

その妹分である卓球は、形式的なルールに縛られることはありませんでした。Donic、Joola、Butterflyといった伝説的な卓球ブランドは時代に合わせて進化を遂げてきましたが、特にレトロなスタイルは多くのインスピレーションを与えてくれます。

卓球台におけるファッショナブルなサーブ

90年代から2000年代初頭にかけて、卓球のユニフォームはサッカーのように幾何学模様と鮮やかな色彩で溢れていました。サッカーユニフォームの人気はすでにピークに達していますが、プラダのメンズコレクションに見られるような、卓球台のスポーティなポロシャツとそれに合わせたショートパンツのトレンドは、これからさらに注目を集める可能性を秘めています。

デカトロンのグローバルチーフカスタマーオフィサーであるセリーヌ・デル・ジェネス氏は、マッキンゼーの最新調査「Sporting Goods 2025 The new balancing act: Turning uncertainty into opportunity」の中で、オリンピックにおける卓球の人気はチャンスをもたらすと述べています。卓球のようなスポーツは、コミュニティ指向で誰もが気軽に楽しめる点が魅力です。

友人との気軽な対戦には、多くの公園にあるシンプルな石の卓球台とラケット、そしてボールがあれば十分です。また、近年では、大都市を中心に卓球バーやカフェが増加しており、お酒を飲みながらリラックスした雰囲気で卓球を楽しむことができます。ローカルクラブのドレスコードに縛られることなく、自由に卓球を楽しむことができるのです。

ストリートウェアを席巻する卓球

コミュニティと個性を重視するスタイルは、ストリートウェアの根幹をなす価値観です。そして今、このストリートウェアシーンからも卓球の波が押し寄せています。

日本や中国などの東アジア諸国では、卓球を取り巻くファッショナブルなサブカルチャーがすでに発展しており、自己表現の手段として認識され始めています。中国のソーシャルコマースプラットフォームである小紅書（RED）では、このトレンドへの関心の高まりが顕著です。スポーツ用品メーカーの李寧（Li-Ning）とアメリカのストリートウェアブランドStapleのコラボレーションをはじめ、ユーザーは古いユニフォームをアップサイクルしたり、レトロなラベルを付けて販売したりと、創造性を発揮しています。

高級ストリートウェアブランドであるCasablancaは、2022年春夏コレクションでスポーツをテーマに、日本のスタイルからインスピレーションを得たデザインを発表しました。卓球ブランドButterflyとのコラボレーションでは、デザイン性の高い卓球台とラケットセットを展開。レトロな雰囲気を取り入れたセーター、Tシャツ、シャツは、現在もオンラインショップで購入可能です。

Little Tokyo Table Tennis (LTTT)は、アメリカでも卓球熱が高まっていることを証明しています。ロサンゼルスを拠点とするこのピンポン クラブは、独自のマーチャンダイズでストリートウェア界を席巻しています。

LTTTは、漢字やポップカルチャーを取り入れた、日本風のストリートウェアとスポーティなアイテムを融合させています。また、Butterflyとのコラボレーションでは、レトロなユニフォームの美学を現代風にアレンジしたアイテムやアクセサリーを展開。卓球ラケットケースや、日本で人気のロリータファッションを彷彿とさせるフリル付きのネットなども人気を集めています。

LTTTは、日本のスポーツ用品大手アシックスとのコラボレーションで国際的な注目を集めました。キャップ、ユニフォーム、スニーカーに至るまで幅広いアイテムを展開したこのコラボレーションは、今月頭にLTTTのオンラインショップで発売され、すぐに完売となりました。

卓球はファッション界に最初のトップスピンを放ちました。そして、このゲームはまだ終わっていません。