中国国際ファッション見本市:中国のファッション業界注目の3大若者トレンド
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上海ファッションウィークから中国国際ファッション見本市(China International Fashion Fair 2023)にいたるまで、海外からの訪問者受け入れが再開してわずか数週間にもかかわらず中国ではファッション業界が元の活況を取り戻しつつある。開催地である上海もローカルのデザイナーを推し出し、中国のファッションシーンに強い影響を与えるなど、率先して支援を展開している。
今回開催された中国国際ファッション見本市で際立った現地のZ世代や彼らの価値観を象徴するトレンドを紹介する。
「国潮(グオチャオ)」
2020年頃に初めて流行した「国潮(グオチャオ)」が、消費者による自らのアイデンティティへの意識の高まりを受けて新たな形へと進化している。中国伝来の服を現代的にアレンジしたスタイルを指すが、最近では消費者が中国の文化とより深くつながりを持つブランドや価値観を指向する消費者になっている。もともとは伝統的な服飾技術に焦点が当てられていたが、若者たちの間では、これを現代風のディティールとして取り入れたファッションが支持されている。
ブランド例:「十三余(SHI SAN YU)」「ダブル セブンス(DOUBLE SEVENTH)」
「松弛感(ソンチーガン)」
中国のソーシャルメディアで話題になった「松弛感(ソンチーガン)」は主にウィメンズを中心とした家でのリラックスコーデ・ファッションのトレンド。ファッションというより、ライフスタイルそのものを標榜したもので、特に固定観念にはめられた美の基準ではなくより気軽で、自分らしさを追求したスタイルを指向する若い消費者に支持されている。ファッションでは見た目よりも着心地を追求したよりエフォートレスなシルエットがこれに該当し、オーバーサイズやゆったりとしたフィット感、落ち着いた色使いに加え、ミニマリストなディティールやモノクロのカラーパレットなどに注目が集まっている。
ブランド例:「カーム ブリーズ(CALM BREEZE)」「ワウ−イン(WOW-IN)」
「Gorpcore (ゴープコア)」
パンデミック発生後、外出制限から解放され、自然を求めて外に出かけたいという消費者願望から、「Gorpcore(ゴープコア)*」が世界各地で増加した。もちろんこうした傾向はロックダウン解除後の中国でも例外ではなく、都市部の消費者を中心にアウトドアへの関心が高まっている。ファッションでは、ユティリティウエアやアウターウエアといった要素を取り入れたステイトメント・ピースの人気が上昇中。さらに、以前なら非実用的と思われていたような服をより機能的に展開し、デイリーにもアウトドアにも使えるアイテムに注目が集まっている。スタイルと同時に、性能も重視するのがこのトレンドの特徴だ。 * 欧米で一般的なハイキングやトレッキングの携帯食“Good Old Raisins and Peanuts” の頭文字をとったGorpから派生した、ハイキングといったアウトドアを日常的に取り入れたスタイルのこと。
ブランド例:「ティフォーム(TIFORM)」「グアン スーアン(GUAN XUAN)」