バレンシアガ元アーティスティックディレクターのジョセファス・ティミスター氏が死去、57歳
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フランス服飾連盟は11月13日、オランダ人ファッションデザイナーで「バレンシアガ(Balenciaga)」元アーティスティックデザイナーのジョセファス・ティミスター氏が死去したと伝えた。57歳だった。
なお、フランス服飾連盟は訃報に際し「前衛的なスタイルやエレガントで優れたカッティング技術でパリのファッション業界に大きく貢献したティミスター氏を亡くし、誠に残念」とのコメントを発表している。
ティミスター氏は1991年より「バレンシアガ」のプレタポルテのデザイナーとして活躍。1997年に独立。2005年にはフランスの高級靴ブランドの「シャルル・ジョルダン(Charles Jourdan)」のヘッドデザイナーに就任した。
1962年オランダ・マーストリヒト生まれ。ベルギーのアントワープ王立芸術アカデミーを卒業後「カール・ラガーフェルド(Karl Lagerfeld)」や「ジャン・パトゥ(Jean Patou )でキャリアを積んだ。
2010年、自身の冠ブランドが資金不足により破たん。 その後、当時のフランス服飾連盟のディディエ・ グランバック会長(Didier Grumbach)の説得を受け、パリのファッション界に復帰を果たす。
復帰の翌年に発表したコレクション「ブラッドシェッド・アンド・オピュレンス(Bloodshed and Opulence 、日本語で“流血と富”)」では血のりをまき散らしたコサック・ジャケットや茶色のペイントを焼き付けて焦げ跡模様を再現したパンツを披露し、ある評論家から「殺風景で暗く、不穏な作品」と評された。
ロシア系オランダ人としてのルーツを持つティミスター氏本人はコレクションについて当時の取材で「自分は政治家ではないがファッションを使って自分の意見を表現する時が来た。ヨーロッパが崩壊し、ロシア革命や共産主義の余波はいまだ続いている。我々の心の傷はまだ癒されていない。その魂も精神も失われたままだ」とのコメントを残している。
フランスのファッション業界ではティミスター氏はそのミニマリストスタイルと優れたカッティングで「バレンシアガ」の現代的なイメージの確立に貢献したとして知られている。(AFP)