フェンディ、マリア・グラツィア・キウリを新クリエイティブ・ディレクターに任命

フェンディは、シルヴィア・ヴェントゥリーニ・フェンディの退任後、マリア・グラツィア・キウリをローマを拠点とする同メゾンの新クリエイティブ・ディレクターに任命したことを発表した。

新役職において、キウリは同イタリアブランドのアーティスティック・ディレクションを統括し、コレクションおよびグローバルなクリエイティブ・ビジョン全般を担う。また、LVMHグループ傘下で、フェンディの会長兼CEOであるラモン・ロスに直属する。

LVMHグループの会長兼CEOであるベルナール・アルノーは、フェンディがLinkedInで共有した声明の中で次のように述べている。「マリア・グラツィア・キウリは現代ファッション界における最も偉大なクリエイティブタレントの一人であり、彼女がLVMHグループ内でその創造性を発揮し続けるためにフェンディに戻ることを決断したことを嬉しく思う。マリア・グラツィアがメゾンのユニークな伝統を継承しつつ、その芸術的な刷新と将来の成功に貢献してくれると確信している」。

今回の就任は、キウリにとって象徴的な原点回帰を意味する。彼女はキャリアをまさにフェンディでスタートさせ、創業者であるフェンディ家の5人姉妹の指導のもとで働いた経験を持つ。ローマのサヴォアフェール（職人技）に初めて触れたこの経験は、彼女の美的言語の基礎を築いた。その言語は後にヴァレンティノでピエールパオロ・ピッチョーリと共に進化を遂げ、ディオールで円熟期を迎え、70年以上の歴史の中でメゾン初の女性クリエイティブ・ディレクターに就任するという快挙を成し遂げた。

ディオール在籍中、キウリはフェミニスト的かつ社会意識の高い言説を確立し、アクティビズムとオートクチュールを結びつけるメッセージを打ち出した。伝統的な職人技と、ファッションにおける女性の役割に対する現代的な視点を両立させる彼女の手腕は、このパリのメゾンのアイデンティティを再定義し、大手ラグジュアリーメゾンのクリエイティブアプローチに新時代をもたらしたのである。

フェンディへの復帰により、キウリは今年業界で最も注目される人事の一つに臨むことになる。彼女が手掛ける最初のコレクションは2026-27年秋冬コレクションとなり、2026年2月のミラノ・ファッションウィークで発表される予定である。