プラダのロレンツォ・ベルテッリ氏の語るAI時代　「自動化によって、職人の価値が高まる」

イタリア、フィレンツェ近郊のスカンディッチ発。「テクノロジーとAIは、我々に効率性をもたらし、高付加価値の仕事に時間を割くことを可能にするだろう」。プラダ・グループのチーフ・マーケティング・オフィサー兼CSR責任者であり、次期CEOでもあるロレンツォ・ベルテッリ氏はそう述べた。ベルテッリ氏は11月、現CEOのアンドレア・グエッラ氏と共にスカンディッチを訪れ、プラダ・アカデミー・グループの設立25周年を祝った。また、ベルテッリ氏はスカンディッチ工場の職人であり、レザーグッズのスペシャリストであるフランチェスカ・レットーリ氏およびレオナルド・ネージ氏と長時間にわたり対談した。

ロレンツォ・ベルテッリ氏：「AIは短期的な混乱を招くが、長期的には楽観視している」

ベルテッリ氏は、ファッション業界内外の誰もが抱く疑問、すなわちAIがファッション企業内の職を奪うのではないかという問いに言及した。「移行期は常に問題が伴う。AIは短期的な混乱を引き起こすだろうが、長期的に見れば私は楽観的だ」とベルテッリ氏は述べた。職人技や製造業は、GeminiのようなAIのますます具体的で詳細なプロンプトに限定されるものではない。従業員のフランチェスカ・レットーリ氏もこの意見に同調し、「アカデミーでは、観察を通じて学ぶことを教わります」と語った。これは、ハンドバッグ製作を導く注意力、好奇心、情熱、そして経験が付加価値を生むことを意味する。ベルテッリ氏によれば、この価値こそが職人という職業の永続性と継続的な評価を保証するものである。

さらに、ホワイトカラーとブルーカラーの仕事のパラダイムは、今後数年で完全に変化するだろう。若者はますます、より良いワークライフバランスと従業員の福利厚生の向上を求めている。

多くのホワイトカラーの業務は、AI開発に関連するプロセスに吸収されたか、あるいは今後吸収されるだろう。オフィスワークは、プレゼンテーションの対応やスマートフォンを操作して一日を過ごすといった業務が中心になっていくだろう。この変化は、手仕事の魅力を高め、ひいてはその価値を高める可能性がある。

アンドレア・グエッラ氏もこのビジョンを強調し、プラダのようなグループにとって製造とは工業的な職人技であると述べた。「我々の仕事の80%は、手と心、そして思考で成り立っている」。FashionUnitedは、生産部門やプラダ・アカデミー・グループのラボを含むスカンディッチ工場を視察した。プラダおよびミュウミュウの職人たちが働く様子を目の当たりにし、「同じレザーは二つとない。細心の注意が必要だ」というグエッラ氏の言葉が、ラグジュアリーなバッグや衣服を生産するために何を意味するのかを実感した。

アンドレア・グエッラ氏：ラグジュアリーはテクノロジーを受け入れつつ、人間の創意工夫の価値を最大化すべき

ラグジュアリーに焦りは禁物である。「我々はスローであり続けなければならない世界にいる。テクノロジーを受け入れつつも、創意工夫や人間的なものすべてに最大限の価値を与えることに成功しなければならない世界だ」と、プラダ・グループのCEOは強調した。

プラダ・グループの歴史は生産施設の歴史であり、イタリア国内だけで23ヶ所を擁する。「父は初日から自社工場を所有することを信条としていた。事実、私の両親の物語は、デザインに専念する母ミウッチャ・プラダと、工場に専念する父パトリツィオ・ベルテッリという二人の人物の物語なのだ」とベルテッリ氏は説明した。彼は、自社生産が「我々の血に流れる文化的な問題だ。ミラノのオフィスでは、工場について語らずしてビジネスを語ることはできない」と強調した。

プラダ・グループは（6月30日時点で）15,433人の従業員を擁し、25の生産拠点を運営しており、そのうち23ヶ所はイタリア国内にある。グローバル産業部門には4,167人、レザーグッズ部門には2,087人、フットウェア部門には1,081人、そしてアパレル部門には999人の従業員が在籍している。

生産に関して、プラダ・グループの経営陣は、スカンディッチ工場とプラダ・アカデミー・グループが「すでにヴェルサーチェとその生産を受け入れる準備を進めている」と説明した。「アカデミーはグループ全体に貢献する。なぜなら、あるブランドのバッグを作るにせよ、別のブランドのバッグを作るにせよ、その哲学は常に同じだからだ」とベルテッリ氏は述べた。

プラダ・グループの生産モデルの重要な側面は、サプライチェーンを直接管理していることであり、これが真の「メイド・イン・イタリー」製品を保証している。また、同社は今後サプライヤー名の公開を決定している。

「我々は特に誇りに思うサプライヤーの名前を公表することを決定した。ご存知の通り、長期的計画の一環として、最終的にはすべてのサプライヤーを公開する予定だ」。ベルテッリ氏は次のように説明した。「企業には、生産チェーンのすべてのレベルを開示する法的義務はない。もし報告規則がいつか変更されるなら、我々は喜んで100%開示するが、そのルールは誰にでも適用されなければならない」。「なぜ我々のサプライチェーンに関する情報を収集できる競合他社に、有利な状況を与える必要があるのか」と彼は問いかけた。