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「18年後のZ世代」AI、AR、ロボットが変える買い物行動 民間調査で判明

By Simone Preuss

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小売
Robot meets human. Image: Tara Winstead / Pexels.

スウェーデン発の決済サービス会社「クラーナ(Klarna)」がこのほど発表した次世代の消費者の購買行動に関する調査結果において、人工知能(AI)や拡張現実(AR)、ロボットといったテクノロジーが将来的に実店舗・オンラインともにファッションの小売業で主流となるという傾向が明らかになった。

今年4月、クラーナは調査会社「ダイナータ(Dynata)」と共同で米国・英国・ドイツ・フランス・スウェーデンの五カ国に住む18歳〜77歳の消費者約5000人(一カ国あたり最低1000人)を対象にインターネット調査を実施。「今から18年後、Z世代が40歳を迎える2041年の世界で買い物がどう変化しているか」をテーマに、回答者にアンケートを行った。その調査結果から、買い物の将来像についての消費者の考えが見えてきた。

パーソナライゼーション

将来的な買い物体験に期待するものとして、回答者の約3分の2(65%)が「パーソナライゼーション」と回答。さらに、「2041年には今よりもパーソナライゼーションが実店舗でもオンラインでも進んでいる」とした回答者も約3分の1(36%)に及んだ。

バーチャル試着室

わざわざ店に行って商品を着くらべて自分に合うサイズの服を探すという手間に加え、そもそも混んでいる試着室の前で並んで待たなければならないという試着のあり方に消費者が負担を感じている実態が明らかに。調査ではバーチャル試着室を使ってみたいという割合がほぼ半数(48%)に達した上、ARでは28%、AIに体型やファッションのアドバイスを聞くとした回答者は23%だった。「将来的に試着方法は変わらない」との回答は53%であった。

ロボット・アドバイザー

ファッションアドバイスに関しては、“礼儀正しい”ロボットのファッションアドバイザーやバーチャル買い物アシスタント“の需要が高まりそうだ。回答者の半数以上(59%)が、ロボットによる採寸やスタイルの相談を利用してみたいとの意思を示しているが、一方で18%の回答者が「見た目や行動の内容による」と答えた。さらにオンラインでの買い物中に自分好みのスタイルやデザインをもとにお勧め商品を提案してくれるバーチャルなパーソナル・スタイリストを望む回答者は34%だった。

ARの浸透

大半の回答者(81%)はARにより将来の店内の買い物体験の内容が向上すると考えている。また、全体の3分の1(37%)の回答者が将来的に小売店全般でARが標準サービスになると考えていることがわかった。

実店舗での買い物も存続

消費者は仮想体験(VR)が現実世界の買い物体験を代替するものではないと考えている。「今後20年間の間にVRを活用した買い物体験が現実世界の買い物体験を上回ることはない」と答えたZ世代の回答者は全体の半数以下(43%)に止まった。

完全キャッシュレス化

今後18年間のうちに実店舗が完全キャッシュレス化されると予想している回答者は全体の約3分の2(64%)であった。なお、今後5年間のうちにすでに完全キャッシュレス化が実施されているとした回答者は全体の約3分の1(31%)であった。

サーキュラー・エコノミー

テクノロジーだけではなく、地球環境やサーキュラー・エコノミーの拡大についても消費者は強い関心を持っている。若年世代は小売業におけるサーキュラー・エコノミーやファッション業界のサステナビリティが将来に向けてさらに進展すべきと考えている実態が調査で浮き彫りになった。

具体的には、「将来的にサステナブル・ファッションが今よりも進んでほしい」との回答が52%であったほか、「小売業全体でサーキュラー・エコノミーが進展することを望む」とした意見は57%に上った。18年後に中古ファッションの売買意向が変化しているかという質問に関しては、26%が「今よりも頻繁に売っている」と答え、「今よりも頻繁に買っている」との回答は37%であった。

ChatGPTの回答

調査では、米OpenAI社が開発したAI、ChatGPTにもインターネット調査と同様の質問を聞いてみた。その回答は下記の通りだった。

ほとんどの小売店では10年後にキャッシュレスになっている。 ARは将来的な現実世界の実店舗の買い物体験の質を高める。 2041年には消費者が現実世界の実店舗の買い物よりもVRでの買い物を嗜好するようになっている。 2041年にはオンラインショッピングがドローンやロボットによって完全自動化されている。 ロボットやAIによって実店舗で働く人間のスタッフがなくなることはない。

なお、英国人消費者動向専門家のケイト・ハードキャッスル(Kate Hardcastle)は今回の調査について、「小売や買い物のトレンドは過去10年間に非常に大きな発展を遂げ、今後さらにもっと多くの変化が起こることは明白である。ARをはじめ、テクノロジーには古い店舗の刷新や消費者の実店舗における新たな買い物体験を提供するポテンシャルがある。今回クラーナが実施した調査により、消費者はより買い物に利便性やパーソナライゼーションを求めていることが判明した。そしてそれらを実現するための核となるのはシームレスなテクロジーである」との見解を述べている。

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