今注目すべき、ジェンダー・ニュートラルなブランド5選
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ジェンダーレスやユニセックスなファッションブランドが増え、誰が何を着るべきかという概念が進化している。特にZ世代は、自分達の性別に合うようにデザインされた服ではなく、着心地のよい服装を受け入れ始めている。男らしさ、女性らしさの定義も変わりつつあり、伝統的なメンズウェアやウィメンズウェアの境もあいまいになってきているのだ。
実店舗で男女ごとにフロアや売り場が異なる小売店はファッションのジェンダーニュートラル化に遅れを取っている。さらにバイヤーも、「売れるもの」と「指向するもの」とのバランスに苦戦。性差の平等についての意識を喚起しようと、伝統的な男性・女性観の境界線に挑戦する大胆なデザインが続々と登場する一方、それは必ずしも利益につながるとは限らないからだ。
グローバルファッション検索サイトの「リスト(Lyst)」によると、「グッチ(Gucci)」がオンラインショッピングサイト上にオープンしたジェンダーレスなセクション「Gucci MX」をはじめ、「コンバース(Converse)」のジェンダーレスなライン「シェイプス(SHAPES)」、ビヨンセ手がける「アイビーパーク(Ivy Park)」とアディダスのコラボブランド「アイビーパーク x アディダス(Ivy Park x Adidas) 」から2020年に登場したジェンダーニュートラルなラインなどを見ると、2021年もいたるところで性差にとらわれない商品展開がさらに進むと予想される。現に、2020年10月以降、インターネットにおける「ユニセックス」という言葉のついた新製品の件数が前年に比べ2倍以上となっている。そんな中、本誌が注目するジェンダーレスなブランド5選を紹介する。
「イージー(Ijji)」
2016年にカリフォルニアで創設されたジェンダーレスなファッション・ブランド。商品の多くに日本由来の原料を使い、ツイル生地のプレイド・トラウザーパンツ、シルクのスカートなど、天然素材や色の美しさ、ユニークなシルエットにこだわったスタイルを提案。「Ijji」は日本でお馴染みのウエスト部分がゴムになった「イージーパンツ」から取ったもの。商品はユニセックスに着られ、サイズもより多くの消費者に着てもらえるよう幅広く展開。
「コールド・ランドリー(Cold Laundry)」
2019年にデザイナーのカップル、オラ&セリース・アラビ(Ola and Cerise Alabi)氏によって立ち上げられた英国のブランド。ユニセックスなダウンジャケットを中心に、日常的に使えるミニマリスト・スタイルのベーシックアイテムを取り揃える。「(コールドランドリーは)韓国のファッションに強いインスピレーションを受けており、すっきりとしたミニマルなスタイルにブランド独自のタッチの色使い、カッティング、形を合わせたドロップショルダーやオーバーサイズ、ボクシーな着心地のアイテムを展開している」とデザイナー本人は語っている。
「マントル(Man-tle)」
オーストラリアを拠点とするデザイナー、ラーズ・ハリー(Larz Harry)と妻で同じくデザイナーのアイダ・キム(Aida Kim)による「マントル」。コレクションは特にジェンダーニュートラルという訳ではないが、ワークウェアをはじめ多くの商品をメンズおよびウィメンズサイズで展開している。荒々しいオーストラリアの風景を思わせる「マントル」の服は、耐久性や信頼性、実用性を重視するとともに、性別ではなく平等主義を意識した感性を持ちながら、着る人の中で変化していく境界線に合わせて適応する。
「オールダーブラザー(Olderbrother)」
ナチュラルな服にフォーカスした、ユニセックス&サステナブルなブランド「オールダーブラザー」。米国ポートランド州オレゴンに拠点を持ち、独自開発した染料をはじめ、細部にまでこだわった環境に優しい素材を使ったユニークなエシカル・ファッションを提唱。また、「自己を定義する」という考えを支援し、誰にでも着られる服を作っている。
「コリュージョン(Collusion)」
英ファッションECの「エイソス(ASOS)」限定で2018年に登場した、インクルーシビティやコラボレーション、実験的ファッションに着目したZ世代向けのニュー・エイジ・レーベル。誰もが「自分が着ていることを想像できる」よう、すべての人の体型にあった服を作ることをブランド精神としている。より多くの視点を取り入れるため学生やYouTuberなどさまざまなコラボレーターを起用し、「エイソス」の若年層やより多様な消費者のニーズに対応している。
画像: courtesy of Asos, Collusion, and Ijji