H&M、ミャンマーのサプライヤーとの取引を“段階的に停止”へ
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H&Mは、労働者虐待が問題となっているミャンマーの縫製工場との取引を終了する決定を下した。すでにインディテックス(Inditex)、プライマーク(Primark)、 M&Sなどのアパレル企業もミャンマーでの相次ぐ労働者の不当な扱いの報告を受け同国内のサプライヤーとの契約を打ち切っており、H&Mもミャンマーの事業を段階的に撤退する意向を表明した。
同社はロイター通信に対し、「慎重に検討した結果、ミャンマーでの事業を段階的に撤退するという決定を下した」とメールで回答している。
決定はミャンマーにおける事業推進のための自社基準や要件遵守における課題の増加に基づくもので、事業撤退にあたりH&Mは国際労働団体インダストリオール・グローバルユニオン(IndustriALL Global Union、以下、インダストリオール)が策定した「Responsible Exit Framework(責任ある事業撤退の枠組み)」に準拠して行うことを明らかにしている。なお、インダストリオールはミャンマー企業との取引を取りやめるようブランドに奨励する目的で、「Responsible Exit Framework」の採用を呼びかけている。
H&Mは以前、ミャンマーのサプライヤー問題について「ミャンマーでの最新状況を注視してきたが、自社の基準や要件にあたった事業をミャンマーで行っていく上で課題が増大している」とコメントしている。
今年6月、「ザラ(ZARA)」のサプライヤーであるヤンゴンの縫製工場で、労働条件の改善や技術や勤続年数に応じた賃金の増加の交渉を求めた7人の従業員が解雇された。服飾製造業全体に蔓延る低い賃金問題が引き金となったこの出来事に対し、同月12日、600人の従業員が7人の解雇撤回を要求しストライキを起こしたが、翌13日、工業側が軍の支援を要請し、突如ストライキが終了した。
今年に入り、ミャンマーではこれ以外にも同じような事件が複数発生している。インダストリオールのグローバルユニオンと欧州支部は、欧州連合(EU)による「MADE in Myanmarプロジェクト」が意図せずしてミャンマーの軍事政権を支援しているとしてプロジェクトの中止や、一般特恵関税制度(Generalized System of Preferences: GSP)からのミャンマーの除外をEUに要請している。またEUの市民や公的基金に対しても、ミャンマーの軍事政権に利益を供与したり、労働者の脅迫や解雇、不当逮捕が発生している地域を対象としたEUが出資するプロジェクトに関与したりしないよう呼びかけている。