【Tech for Retail 2025】購買体験を変革する革新的スタートアップ4社が受賞
パリで開催された見本市「Tech for Retail 2025」において、Albatross、Neuralk、POWER.xyz、およびDealtがその技術的革新性を評価され、表彰された。これらのスタートアップは、リアルタイムAI、予測分析、生成3Dコンテンツ、および家庭関連サービスで注目を集めた。これらのソリューションは、小売業界をより効率的でパーソナライズされた、まるで体験型アトラクションのようなものにすることを目的としている。
「Tech for Retail Awards 2025」の授賞式は、Place des Innovationsで行われた。ここは4つの審査員団のメンバーが集まる中心的なハブとして機能し、審査員らはスタートアップの革新性と機敏性に感銘を受けた。
La Retail Techの創設者であり、イベント主催者であるマイク・ハジャジ（Mike Hadjadj）は、FashionUnitedに対し次のように語った。「今日、我々は非常に迅速に行動しなければならない。審査員は必ずしも大規模なソリューションを選ぶわけではない。なぜなら、小規模な企業の方が特定のニーズに対応していることが多いからだ」。さらに同氏は、「非常に多様で洗練された応募があった」と述べた。人々を惹きつけるのは、AI主導のイノベーションや、即座に導入可能で、実績や具体的な成果、そして投資収益率（ROI）が見込めるソリューションである。
イノベーション賞 2025：発見を促すリアルタイム・インスピレーションAI「Albatross」
Amazonの元AI幹部らによって設立され、スイスに拠点を置くAlbatrossは、ユーザーの閲覧行動から継続的に学習するAIモデルを開発するため、最近1,250万ドルを調達した。
共同創設者のケビン・カーン（Kevin Kahn）によれば、「パーソナライゼーションは過去15年間、あまり変わっていない。依然として人気度、ユーザーの類似性、および製品の類似性という3つの戦略に基づいている。これらすべての戦略は過去を見ている」という。
これに対抗するため、Albatrossはオリジナルで文脈に関連したコンテンツをリアルタイムで強調し、各セッションをまるで発見の旅のような体験へと変える。
その他に、Albatrossは、まだ馴染みのない潜在顧客に新製品やデザイナーを認知させるのに役立つ。これによりプラットフォームの魅力が高まり、ユーザーとの直接的な接点を持つプラットフォームでの公開に価値を見出すクリエイターを支援する。
Albatrossによれば、同社のコンテンツフィードはエンゲージメントを400パーセント以上増加させ、本来なら発見されなかったであろう数十万点のアイテムの購入を実現したという。
スタートアップ賞：データサイエンティスト向け予測AI「Neuralk」
Neuralkは、企業が製品、顧客、および取引データの可能性を最大限に活用できるよう支援する、データサイエンティスト向けの予測ツールである。
これは基盤モデル（大規模なデータでトレーニングされた大規模AI）に基づいており、データ処理と構造化に特化して、構造化された実用的なインサイトを生成する。
さらに、この独自技術は、データ量が少ないことが多いラグジュアリー部門に特に適している。事前トレーニングのおかげで、Neuralkは新しいユースケースを解き放ち、ROIを大幅に改善する。
シニアアカウントエグゼクティブのテオ・マルコリーニ（Théo Marcolini）によれば、「LVMH、ロレアル（L’Oréal）、シャネル（Chanel）などのグループのAIチームが、現在具体的な課題を持って我々にアプローチしてきている。これには売上予測、在庫レベル、リピート購入、あるいは新しいコレクションからのものであるため履歴データがない新製品のパフォーマンス予測などが挙げられる」という。
例えば、あるラグジュアリーブランドは、2つ目の製品の購入意向を予測したいと考えていた。最初の購入と顧客の履歴を分析することで、Neuralkは次にどのアイテムが購入されるかを予測し、それによって売上を増加させることができた。
ジェネレーティブAI賞：無制限のコンテンツを生み出す3Dおよび生成AI「POWER.xyz」
POWER.xyzは3年前にフランスのアンジェで設立され、インキュベーター施設Station F（ステーションF）に拠点を置いている。この3Dアセットプラットフォームは、ビジュアルコマースと、完全に生成AIに基づいた無制限のコンテンツ作成に特化している。ブランドに対し、提供する商品を視覚的に変革するための有望なソリューションを提供する。これにより、リッチでインタラクティブ、かつ没入感のあるコンテンツを作成し、デジタル顧客体験を向上させることが可能になる。
さらに、プラットフォームは3つの補完的なモジュールで構成されている。広範な3Dカタログを作成・生成するための簡素化されたワークフロー、3Dビューア、インタラクティブなコンフィギュレーター、およびAR（拡張現実）ツールなどの没入型体験の開発、そしてパックショット、動画、ライフスタイルビジュアルを瞬時に生成するバーチャルスタジオである。
わずか1つの3Dアセットで、企業は10以上のユースケースを実現できる。POWER.xyzの共同創設者クレメント・フーシェ（Clément Foucher）によれば、「我々はサンローラン（Saint Laurent）、グッチ（Gucci）、デカトロン（Decathlon）などのブランドと協力しており、3DとAIを組み合わせることで無制限のコンテンツ生成を可能にしている」という。「言い換えれば、写真撮影は不要だ。製品をスキャンしてフォトリアルな表現を取得する。これにより、ブランドはあらゆる規模で無制限のコンテンツを生成できる」。
顧客体験賞：ホームサービスと製品保険で小売サービスを拡大する「Dealt」
Dealtは、小売業者およびeコマース企業に対し、家庭関連サービスを提供するための包括的なプラットフォーム「Dealt Home Services（デールト・ホーム・サービス）」を提供している。これには配送、設置、組み立て、メンテナンス、および修理が含まれる。また同社は、一連の製品保険ポリシーである「Dealt Care（デールト・ケア）」も販売している。これらのポリシーは、破損、欠陥、延長保証、および同一世帯内の複数のデバイスに対するホーム保証保護をカバーする。
さらに、このポジショニングは特に重要である。なぜなら、小売業者が製品販売に加えてこれらのサービスを提供できるようになるからだ。これにより顧客ロイヤルティが強化され、提供内容が差別化され、付加価値が高まる。商業的な可能性の証明として、フランス企業であるDealtは成長を加速させるため、2024年6月の最初の資金調達ラウンドで600万ユーロを調達した。
DealtのCEO兼共同創設者であるミカエル・ブラコニエ（Mickael Braconnier）によれば、「我々は、ブランドや小売業者が電気技師、配管工、造園業者、自転車整備士など、あらゆる業種の専門家とつながることができる追加のサービスプロバイダーネットワーク（Dealt Connect）を提供している」という。「彼らは独自のネットワークを構築したり、既存のネットワークを拡大したりして、新しいサービスを開発したり、新しい地理的エリアをカバーしたりすることができる」。
これまでのところ、Dealtはファッションおよびアクセサリー部門にはまだ注力していない。修理は自宅ではなくワークショップで行われることが多いためだ。しかし、同社は特に家電部門において多数の小売顧客にサービスを提供している。
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