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知っておくべき日本のファッション・繊維団体 5選

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フォーミュラEに参戦する日産チームから着想を得たJu-nnaによる着物デザイン クレジット: Nissan Formula E
By Sena Terui

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日本のファッション産業は、素材開発、アパレル生産、文化発信、環境対応など多様な領域が重層的に結びつくことで成り立っている。アパレル製品よりも繊維素材の輸出額が大きいこの“素材輸出国”では、円安下の今、その強みの国際的認知をいかに高めるかが産業全体の競争力に直結する。本稿では、日本のファッション・繊維業界を担う5つの団体を紹介する。

1. JFW推進機構::日本のファッションを世界へ発信する団体

一般社団法人日本ファッションウィーク(JFW推進機構)は、日本の繊維・ファッション産業の海外進出や国際競争力の向上を目的に2005年に設立した。かつての国内のファッション協会の世界的な認知度の低さを克服するため、同機構は東京のファッションシーンを世界に発信するためのファッションイベントを企画した。その結果、東京は現在の “ファッションの地” としての地位・アイデンティの確立に成功することとなる。

楽天ファッションウィーク東京はJFWO推進機構の企画する代表的なイベントだ。日本の新人デザイナーを世界に発信するのを目的とし、年に2回コレクション・ショー、インスタレーション、合同展示会が開催される。 また、ファッションだけでなく繊維事業として、トレンドの素材や日本独自の素材を紹介する展示会、「東京テキスタイルスコープ」等開催も行っており、バイヤーから学生まで、様々な層が来場可能である。 記念すべき第一回目の2025年度のイベントでは、VRゴーグルで日本のデニム生産工場を見学する企画など、ユニークなプログラムが用意された。

2. 日本ファッション協会(JFA):ファッションを文化として育てる団体

1990年に設立された日本ファッション協会は。ファッションを「多くの人々にある一定の期間共感をもって受け入れられた生活様式」と捉え、ファッションの普及や伝承によって、衣服を超えた国のライフスタイルや文化の発展を目指している。従って、繊維産業だけでなく、製造、建設、エネルギー、流通、情報、サービス、金融等といった社会の様々な領域の関係者によって成り立つ。

同協会の活動は、この理念に基づき、ファッションの枠を再定義するような事業が特徴的だ。例として、「日本クリエイション大賞」という名のコンテストを開催している。このコンテストでは、衣服に留まらずジャンルを超えた、社会全体に価値創出や変革をもたらすためのクリエィティブプロジェクトを表彰している。また、東京のストリートスナップやショップを紹介するウェブマガジン「Style-Arena」、アジアの6カ国が加盟し各国のマーケット理解や人材発掘を目的とする「アジアファッション連合会」といったプロジェクトを抱えている。

3. 日本繊維産業連盟 :繊維素材を中心とする産業団体

日本繊維産業連盟は1970年に結成された、繊維産業の競争力を高めるのを目的としている団体。主に服づくりの上流である素材の製造に焦点を当てている。

近年は2020年に公表された「2030年にあるべき繊維業界への提言」をもとに、中小企業の支援とサステナビリティへの対応に焦点を当てている。

その具体的な活動例として、2024年には、業界向けの特定技能制度 (外国人材が働きやすくなる制度)の情報の案内や、中小企業の海外展開やデジタル化の支援を行った。 また、2022年には、国際労働機関(ILO)の支援を受け「繊維産業における責任ある企業行動ガイドライン」を公表した。人権の重要さや人権に関する日本の繊維業界の現状に加え、企業が国際基準に沿った人権尊重や適正労働、環境配慮の取り組みを進めるための指針を明記している。

ソーシングプラットフォーム Manufyが新たなスタートを切る クレジット: Manufy

4. 日本化学繊維協会:化学繊維と環境問題に向き合う団体

1948年に設立された日本化学繊維協会は、国内の主要化学繊維会社から成り立ち、化学繊維を通した環境への取り組みを行っている。

主な活動として、温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡にするカーボンニュートラルにむけて、素材や製造プロセスに植物性の資源や技術を利用するバイオ化繊の拡大、使用済みの繊維をリサイクルして新たな繊維素材を作る取り組みなどを行っている。

以上の取り組みに従い、同協会の会員となる企業では、環境を配慮した、植物由来やリサイクルによってできたポリエステルや人口皮革の開発を行っている。こちらのホームページより、各企業が開発した素材と、その製品情報へのリンクが紹介されている。

また、マイクロプラスチック問題の改善に向けても活動しており、繊維屑が出にくい繊維製品の開発や海洋汚染を防ぐための研究を進めている。

5. 日本アパレル・ファッション産業協会:アパレル企業を支える団体

日本アパレルファッション産業協会は、衣服が商品として企画・生産され、消費者の手に渡るまでの一連のプロセスにかかわる企業を支える団体だ。

同協会は、複数の専門委員会によって活動を進めている。環境・人権・サプライチェーンの課題に対応するサステナビリティ委員会、衣類の品質基準や表示ルールを整備している品質委員会もこの協会の中に含まれている。取引適正化委員会は下請法や取引慣行の改善、流通委員会は物流効率化や在庫管理の最適化を推進。人材育成委員会は研修や教育プログラムを担当し、広報・情報発信委員会は業界動向やPR活動を行う。

これらの委員会では、実務に直結する多様な取り組みが具体的に進められている。たとえば、サステナビリティ委員会では国際基準の動向を踏まえたガイドラインの策定が進められ、流通委員会では共同配送の可能性が検討されている。さらに、人材委員会ではMD研修などの教育プログラムが推進されており、協会として実践的な課題に幅広く対応している。

まとめ
  • 日本のファッション・繊維産業は、JFW推進機構が東京ファッションウィークを通じて国際的な発信力を高め、新人デザイナーや独自の素材を世界に紹介することで、その競争力を強化している。
  • 日本ファッション協会はファッションを文化として捉え、異分野連携や「日本クリエイション大賞」で社会に価値を創出し、日本繊維産業連盟は素材産業の競争力強化、中小企業支援、サステナビリティ推進に注力している。
  • 日本化学繊維協会はバイオ化繊やリサイクル技術で環境問題に取り組み、日本アパレル・ファッション産業協会はサステナビリティ、品質、公正な取引、人材育成など多岐にわたる活動でアパレル企業の事業プロセス全体を支援している。
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